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森のふかいふかい奥で少女は出会いました。誰もこないようなさみしい暗い森です。
そこには家のようなおおきなかおがあり、そのまわりを太い髪の毛のようなものが
うねうねと波打っています。かおの半分はくずれたようになっていて、
ぬめっとした目がこちらをじっと見ています。
「どうしてにげないのだ」
「なんでにげる必要があるか」
「わたしが怖くはないのかい」
「どうして怖いものか」
「わたしはおまえをとって食らうこともできるのだよ」
「わたしの父も狐を殺します。鹿を打ち、皮をはぎわたしたちは肉をくらいます。
何の違いがありましょう」
おおきなかおと少女は友達になりました。
Continue reading おおきなかおと少女.
少女はとても瓶が好きでした。
少女が見つめるのは硝子の瓶ばかりで、それは青色だったり緑色だったり、
向こう側の景色が透けて見えるようなきれいなものでした。
大きいものから小さなものまで、少女は起きてから眠るまで、うっとりと眺めているのでした。
やがて少女のつま先は透き通り、硝子のように冷たくなってしまいました。
次に膝が透き通り、柔らかな太股やふっくらとしたお尻が透き通り、
少女の足はすっかり瓶になってしまいました。
驚いた両親は、そんな少女をこっそりと森の中へ捨てにゆきました。
少女は横になったまま、二人の後ろ姿を眺めていました。
やがて日が昇り、日が沈み、雨が降り、葉がカサカサと揺れ、それを何度も繰り返しました。
花が咲き、枯れて、それを眺める少女の瞳は硝子の瓶のように透き通っていました。
Continue reading 瓶になった少女.
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